ちょっと立ち話 | 夏の思い出 | 2002/8


末娘がやっと3歳になったある夏の日。私は子供たちを連れてキャンプに行く事を計画した。
母子家庭状態の子供たちにテント生活を体験させてやりたいという、母心からである。
長男9歳 次男5歳 長女3歳 飼いはじめた犬生後6ヶ月 そうして女盛りの私37歳。
総勢4人と一匹。キャンプ初体験のなんとも危なっかしい軍団である
夫はというと・・・現地で待ち合わせ。しかし・・・
ドタキャン専門だから、参加できればそれはそれで。出来なきゃまたそれはそれで。
装備だけは完璧なものをということで、奮発して「エベレスト登頂!ヨーレカのドーム型のテント」を購入
シュラフあれこれ・・・・・いま考えると まったく冬山制覇も夢でないほどの重装備だった。
車で30分、近場のキャンプ場に到着した。
小さな子供と母親だけの体当たり勝負キャンプのはじまりだ。
夕飯の献立は・・・!!!!大塚のボンカレー!!!!
テントも上手に手早く張れたし、飯盒用の焚き木も男の子達の頑張りで、たくさん集まった。
「子供だけでテントを張れてすごいなあ」なんて言う褒め言葉が聞こえてきて、ちょっと自慢。
皆が工夫して、御飯も炊けたし、お湯もわかしてカレーも温まった。
お父さんはなかなかやって来ない。先に食べてしまおう。
あちこち お隣りさんのテントではお父さん主役のバーベキュウ。
それを横目に お肉の美味しそうなにおいを嗅ぎながら、
「僕達のカレーは栄養があるもんね!」といった長男の言葉は忘れられんね・・・・
ぐるぐるてんぐるましたり、ジャンプしてテントを揺らしたり
懐中電灯で”おばけ〜〜”と遊んだり、初めてのテントに興奮して大騒ぎした。
子供たちがやっと寝静まった12時過ぎ、夫が合流した。
「おそいじゃん!なにしてたん!」『急用で呼ばれた・・・』「じゃ 仕方ないか・・」
深夜の夫婦。星空を眺めながら、久々に新婚さんのころにもどったか?
夫はすきっ腹に冷めた御飯にふりかけ。二人とも昼間の重労働で、すぐに意識不明で眠った。
早朝、またまた苦労してお湯を沸かし 場違いにもドリップでコーヒーを煎れ
二人でお菓子パンの朝食を済ませた。 またまた夫は仕事に戻るという。
『じゃね!』「・・うん。じゃね!」
ラジオ体操に起き出した子供たちに「お父さん来たんだよ」と言ったが、
残念がった様子もなく「ふ〜〜〜ん」
かなしきかな 子供達。一度も父親の姿を見ていない。

夏休み、私は毎年このことを思い出す。しかし子供たちは覚えていなくて、
夫には、「君はこの話しが好きだねェ」なんて言われる。
好きなんじゃなくて・・・あの時 相当情けない思いだった気がする。
なにがどう情けないかって、説明する言葉が見つからないけれど
何年か経つうちに、笑い話になった。・・・・・あのとき私が一番キャンプに行きたかったのだと思う。
忙しい夫を持った女房の宿命だけれども、この思い出は、頑張り過ぎてて
ちょっと悲しいサ!!!!!

そうそう、ヨーレカのテント。庭でなんどか張って遊んだけれど
キャンプ場で活躍したのは、あの日が最初で最後。