ちょっと立ち話 | 嘘は妙薬・真実は劇薬 | 2002/4


夕方忙しい時に、悠長な話し方で、塾やら教材販売などの説明をされると腹が立つ。
よくまあ、うちに二人も高校生がいることがわかったこと?! 電話をかけてきた人も、それが仕事だから仕方ないといえばそれまでなのだが、 人によってはずいぶん迷惑な話し方をする人がいる。
マンション、掃除機、健康鍋、化粧品、ダイエット食品・・・あげればキリがない。
「うちには必要ありません」そう言って、受話器をおけば良いのだけれど、切るタイミングをはずすと 長々と聞くハメになる。断りきれずに買ってしまうなんてことまでにはならないのだけれど、 もったいない時間が流れていく。
私の母は面白い人で、元気だった頃 物売りの人が来ると、きまってお手伝いさんの振りをしていた。 「奥様はいまお出かけでございますから・・」
そうそう・・と思いだし、迷惑電話の撃退法にこの手を使うことにした。
「奥様ですか?」 『いえ、手伝いのものです。』 「いつごろ帰られますか?」
『夕方にはお帰りになると思いますが、何時とは聞いておりません。』成功。
「奥様ですか?」 『いえ、違います。母は今おりません』成功。
しかし、明らかに”嘘”をいうのだから、正直者はなかなか上手に言えない。
ちょっと卑屈になってしまうので、お勧めはできませんが
なにを言われても「お金がありません」を繰り返すのも、かなり有効でした。
そうそう、これもよかったです。子供に横で「おかあさ〜〜ん早く来て」と叫ばして
「すいません、ちょっと困った事が起きていまして」と言って切った。成功。
「これから、子供を塾に送って行く時間なので、申しわけありません。」成功。
「来客中なので、失礼します。」成功。
最近もっと有効な手段を見つけた。それは、受話器を持ったまま、黙ってそっと指で回線を切断すればいい。 家族には、あまりにも失礼な切り方だと反感を持たれたけれど、そうかなあ・・・
ちょっとした”嘘”で、あまり不愉快にならずに済むのであれば、”嘘”もなかなか良い薬だ。
ずいぶん前、シートベルト着用違反の取締りがあった時、私は呼びとめられてしまった。
「シートベルト着用してくださいよ!」
『すいません。でも妊娠中でつわりもあって・・・』とうそぶいた。(あなたはいくつですか?と天の声・・)
しかし、警察の人もさすがですよ。
「あまりいいわけがましい事をいうと、奥さん足元の違反も取り締まる事になりますよ!」
はっ?私はサンダルを履いて運転していたのだ。
「今日は注意ということにしておきますので」
そう言って、黄色い警告カードみたいなものを貰った。
まさにサッカーのイエローカードだ。
帰りの運転をしながら、へっ、へっ、へっ私の勝ち!宣言。

人に迷惑をかけない”嘘”なら、いいんじゃない?
今日も遅くに帰宅した夫。 (こんな時間になって、台所に立つ者の身にもなってよ!)
しかし、笑顔でそして小さな声で・・・「ずっとずっと待っていたのよ・・・」
(・・昔 小悪魔だったのに、いまでは魔女になっているって?失礼な!)