ちょっと立ち話 | ふたりの思い出話 | 2002/2

一応ダイエットしている夫の横で、私はむしゃむしゃクラッカーを食べた。
クラッカーの上にスライスチーズを乗せて、りんごのスライスものせる。
こってりとしたチーズと林檎のあっさりが絶妙。
『美味しそうに食べるねェ』 「あげようか」
『ちょっと食べるかな。こりゃ美味しい!』 「ねっ!」
テーブルの上にクラッカーの箱とチーズの包み紙、ばらばらとしていて、子供のおやつみたい。
「クラッカー口から落さないでね。あっ、汚いなあ・・・」
夜食を食べながら、オリンピック観戦。昔話にも花が咲いた。

「オリンピックも感動的だけれど、覚えてる?あれも感動的だったよね・・・・笑
忘れられる訳ないよね・・笑・・・もう10年も前になる。」

地区対抗のの町民運動会というのがあって、
子供から大人まで、もじどおりの運動会が9月上旬開催される。
競技ごとに得点が加算され、総合得点で順位が決まる。
たかが地区対抗運動会、されど地区対抗運動会で、みんな熱くなる。
綱引きや、ムカデリレーなんて、参加者は練習も相当なものらしい。
参加点が高いのが、マラソン。参加しただけで、かなりの得点が加算される。
しかし、参加者は、足に自信あり!の町内アスリート揃い。
日々車の恩恵を受けている夫のような軟弱者は、到底出場なんて考えない。
ところが、何をどう勘違いされたかその年、体協の役員さんが夫の前にやって来られた。
「どうです?3.5キロ ちょっと走ってみられませんか?」
筋肉質だが、見た目にも、走れそうも無いのに・・・・
「あのとき、どうして走ろうなんて思った?」
『・・・・・・・・・・・・・』
ぐるりグラウンドを1周して、校外に出た。
しばらくして、一番の選手が帰って来た。順に2番、3番・・・・
ほとんどの参加者が帰ってきても、夫の姿はない。
知り合いの心臓内科のドクターが、倒れていないかと、様子を見に行くし
整形外科のドクターも捻挫しているんじゃないかと、自転車で出かけてくれた。
何分も何十分も経った後 グランドの全員が待つ中、夫がひとり帰って来た。
大拍手がおこったが、見る影もなくヨタヨタと歩き、私としては見られたもんじゃない。
体協の役員さんが、私の所にやってきて
奥さん、申し訳無い事を御主人にお願いしまして、すいませんでした・・
「もう・・あやまらないでよ・・・って思ったわよ。」
「まだふらついてる時、あなた言ったよね
格好悪かったけれど、あいつら、僕の完走した姿、見たかなあ・・って」
『ぶざまでも、最後までやるってことはこういうことだ、と見せたかったのに・・・』
「子供達ったら、家に帰って、お昼寝してたのよね、あのとき。・・・あなたってそういう人なのよ。
努力が報われないというか・・・笑・・・ごめんごめん」
『失礼な・・・君は僕が失敗すると、高らかに笑うよね・・・・・』
「いえいえ・・・笑・・地道な努力を惜しまないって、定評があるわよ。」
「今年のバレンタインデー、本命が何個集まるかしら?私も手作りチョコ、出来てるよ。」
『あの、ラム酒入りのか?』
「そうそう ラムレーズン上出来よ。食べる?」
『お〜頂きたいね。』
私のバレンタインチョコ、義理チョコだけど・・・笑・・・