ちょっと立ち話 | 忙中 閑あり(1) | 2001/12

嫌だな。
びちょびちょとみぞれが降っている。こんな日は誰もが犬の散歩なんかに行きたくない。
しかしな、犬は待っているし・・・・
雨が上がった夜11時。腹立たしげにジャンバーを着込んで散歩に出た。
外は風もなく穏やかで、思いのほか暖かだった。なんだ、そんなに寒くないじゃん。
宇宙の事象に詳しい友人のお陰で、空を見る機会が多くなったが、
ミクロの世界のほうに関心がある私は、どうもぴんとこない。しかし、
雲が切れた雨上がりの冬の夜空はことのほか澄んでいて、眺めていると ふっと肩の力が抜けた。

去年の夏、北海道からのお土産に頂いた”一夜雫”というお酒を飲んで以来、
私は大の日本酒党に変身した。夫と二人、これ以上の銘酒はない!と宣言したい。
好きな割りには飲めない私は、グラス半分くらいをちびりちびり。とろとろと飲む。
半分くらい飲んだ頃、妙な話になった。
「もし私が、癌かなにかで死にそうになっても、こっそりこのお酒を飲ませてね」
『ああ、いいよ。口から食べられなくなったら、主治医の先生に頼んで、
点滴の中にお酒をまぜてもらって、い〜いほろ酔い気分のまま逝けるようにするから』
「そんなこと、現実にできるの?」
『笑、出来ないことはないだろうさ』
「そんなこと、できっこないわよ 笑」
『トンチンカンなひとだったけれど、ほろ酔い気分で逝ったなあって、おもしろいよ。』
「トンチンカンは、どっちだか・・・でも、私が先に死んだら、困るよね。」
『君が死んだら、やりかけのパッチワークを机に出しておくよ。』
「?」 『そしたらね、振りかえったら、君が座ってパッチしてるかもしれないって思えるだろ。』
酔って、歯が浮くような台詞を言って面白がったのを思い出した。

しばらく犬と一緒に走っていたら、家を出た頃のプリプリと怒っていたのも治って、気分は爽快だった。
今日 夫はお泊まりの忘年会で留守。
お父さん居ないから、一緒に寝ようよって娘を誘ったら、体よく断られた。
だから、ひとり。午前2時。