ちょっと立ち話 | 秋の陽だまりで | 2001/9

午前中だけの仕事を終え、家に帰る。
ばたばたとあわただしく出かけた跡がはっきり残っていて、
私のスリッパが玄関先にひっくり返っていた。
シワだけのばして、干す時間がなくなった洗濯物が 洗濯機の上にこんもりしてる。
見た途端 疲れが倍増した。あんなに暑かった夏も、へっちゃらちゃい!って過ごしたのに、
季節のいい頃になって なんか疲れたなあ。
家事を横目に、丁寧にコーヒーを煎れた。ゆっくり蒸らして、そーっとお湯を落して きっかり3分。
ホコリと布が溢れたパッチの部屋にコーヒーを運んで、一人なのをよい事に大の字になった。
体中の神経やら、筋肉やら、私の体を支えていたものがいっぺんに膨らんだ。
2階の窓から見える空は高く、風までが秋。
先日注文していた香水が届いた。きれいなラッピングもまどろっこしく思いながら封を開け、
手首と胸につけてみた。20余年まえ、独身の頃使っていた香水。豪華な花束"JOY"
子育てに追われ 香りを楽しむゆとりなんてないまま、香水なんて縁の無いものになってしまったが、
こんな香りだったかなあ。

今日の夕ご飯は炊き込みご飯にするかなあ。あやつ、ナスの天ぷらが好きだから、
それと 三つ葉があったから 野菜のかき揚げと・・・・お豆腐は・・・白和えにしよう。
仕度するまで まだしばらく時間が有る。胸につけた香りが立ち上ってきて、何度も何度も深呼吸した。
あれこれ考えていたが「な〜〜んてことは、ありません」と声を出して立ちあがった。
こんなことで元気になるなんて まあ〜安上がりなこと。

帰宅した夫の回りを不審者のごとくうろうろした。今日の私はどこが違うでしょうか。
今日は独身の頃の”JOY”つけてます。
あのねぇ〜人間の臭いに関しての記憶は一番希薄で、嗅覚は視覚・聴覚を越えられない。
目に焼きついた仕草は忘れないけれど、香りはねェ・・・・・
だから、ウンコの臭い臭いもすぐに忘れるでしょ。人間ってそういうものだ!だって。
笑 そりゃそうだ。嗅覚単独では記憶に残り難い。
昨日 寝る前に読んだ本の中の”君の移り香が何年も経った今でも恋しい”という一節は、
ありゃ半分嘘だな。