ちょっと立ち話 | 平凡な時間の中に | 2001/8

何年振りだろう・・そう思うくらい久しぶりに、日曜日夫が家にいた。
トランクス一枚でフラフラしてる。暑いなあ〜を連発する。
仕方ない。忙しいのは気の毒だが、職場の完全空調の快適空間で毎日を過ごしているのだから
この暑さは我慢ならないのだろう。「冷房いれましょうか。」『いや別に・・いいよ。』
しかし、あまりに気の毒。私には寒いくらいの温度設定で、やっと落ちついたようだ。
私はパソコンの前に座っていた。
久しぶりの時間をもてあましたように 私のパソコン作業を見たり、部屋をうろうろしていた。
と・・・・テーブルの上に置いてあった、高校生の次男の鼻パックを見つけた。
『これは、なんだ?・・・毛穴の汚れ取り・・・パックかあ。ちょっと使って良いかなあ』
説明書を声をあげて読みながら、洗面所に行き、タイマー片手に戻ってきた。
鼻の上に白いパック布が張られていた。10分経過。『いたたた・・・・・痛いなあ』
二人して、虫眼鏡で、毛穴の汚れや、脂肪を拡大して見たりした。
『あまり 汚れていないなあ』「いや〜結構 汚れているよ」
普通の家庭の普通のことなのに、我が家では、こんな時間は特別なことだ。
私は、同じ時間を同じ場所で過ごしながら、黙って別々の事をするのが好き。
ゆっくり時間が流れて、ときどき話しながら。
「お茶にしましょうか?」 『いや、おそうめんが食べたい』 「はっ? お素麺?おやつ?」
こうやってのんきな時間が流れた。
どこにでもあるこんな風景、平凡な時間の中にこそ幸せがあるのだろう。
しかし、夫が忙しすぎるせいもあってか まだまだ私の周りにはこんな平凡は見つけ難い。
もっと先にやってくるのかしら。
私をとりまく喧騒な世界の中で、ひとりで頑張り過ぎたりすると、どうにも寂しくなったりする。
私のすべきことは、どこか他にあるのではないかしら・・・・・と
自分の人生をもう一度辿って見たくなる時がある。
自分に自信が無くなった時 詩人「吉野 弘」さんの言葉が、私を励ます。

他人を励ますことはできても 自分を励ますことは難しい
だから・・・・・というべきか しかし・・・・・というべきか
自分がまだひらく花だと 思える間はそう思うがいい
すこしの気恥ずかしさに耐え すこしの無理をしてでも
淡い賑やかさのなかに 自分を遊ばせておくがいい