ちょっと立ち話 | 子離れの時 |

長男は大学進学のため家をでて、一人アパート生活をしています。
いま大学2年生なので、一年半くらいになりますか。
彼が高校3年生の冬、センター試験が終った頃、
身辺が騒々しくなった。
アパート探しを始めたり、一人住まいに必要な品々を揃え始めたり・・
ばたばたと忙しくしてる間に3月も半ばになり、
片道だけのチケットを手にして、出発の日となった。
淡々と日が過ぎ、
たいそうな悲しみがやって来るとも思いもせずにいた。
空港まで、息子と二人でいき、
じゃね!とそっけなくロビーに入った息子の背中だけを見ていた。
飛行機に乗り込む時だって、一度も振り向かなかった。
手くらい振れば良いのに・・・・
滑走路から車輪が離れる瞬間、
いままで淡々としていた心が、急にわすれものに気付いたように、
説明できない感情が騒ぎ出して、涙が止まらなくなった。
誰か一緒にいれば、自然に泣けたのだろうが、何せひとりだったので、
こらえようとすればするほど、感情の収まりがつかなくなって、
声を上げたいほど涙がでて、どうにもならなくなった。
恥ずかしくなってメガネをかけてごまかそうとした。
こんなときにも私って人は、笑い話になるのか、と一層悲しくなった。
なぜって、わたしのメガネはすこしシルバーが入ってて
率直に言うと老眼鏡で、
涙の水玉が、レンズの働きをしてるのに加えてメガネなもんだから、
さっぱりまえが見えなくなってしまった。
手すりにつかまりながら、そろりそろりと歩き、やっと駐車場まで行ったが
その頃には悲しさより、可笑しさのほうが勝っていて、
車の中で笑えてきた。

あれから、何度も泣いて、泣いて、一応の子離れ宣言をした。
子離れ?大泣き、しかも声を上げて泣くのが、一番の近道です。