長男の誕生日が近づく。
2月の初旬、20才を迎える。
いろいろな事がありすぎて一度に話そうとすると、混乱するが
彼のいろんな表情だけは、一瞬に浮かぶ。
困った顔や、理屈を言う前のちょっとしかめた顔、
ニヤニヤした顔、大口を開けて笑う顔、頑張ってる顔
泣いた顔でさえ何種類もある。あげれば、きりがないが
いつ、どんな時の表情だったか、はっきりしない。
きちんとした躾も忘れて
私はあの子の表情ばかりを見て大きくしたのかなあ
彼が幼稚園の年長で、次男がまだ、1歳と6ヶ月のころ、
私と彼、次男の3人で、お風呂にはいっていた。
どんなことだったのかは覚えていないが、彼が弟にちょっと悪さをしたら、
弟は声を上げて笑った。
弟が笑い、彼が笑い、私が笑い、また弟が笑い
繰り返しているうちに、夫が帰って来た。
まだ、そのころは、官舎に住んでいたので、2階までの階段を上りながら
私達の笑い声を聞いたらしい。
帰ってくるなりお風呂に顔を出して、私達の様子に夫もまた笑った。
その時、長男はうれしそうにこう言った
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よしろうが笑うと
ぼくが笑って
ぼくが笑うと
おかあさんが笑う
おかあさんが笑うと
おとうさんが笑う
みんなが笑うね
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丁度そのころ、「僕、私のすきな人」という題目で、詩や絵の募集があったので、
「このまえ、お風呂で言ったこと、ちょっと書いて」
大、小、おまけに鏡字(さかさまの字)まじりでやっと書いて、詩の部門に応募した。
なんと、某新聞社社長賞を頂いたが、
賞を頂いた事よりも、みんなが私を応援してくれてるように思えたことが
なによりも嬉しかった。
どの子もたくさんの言葉を残してくれる。
私は子供たちに何を残してやれてるのかなあ