ちょっと立ち話 | 偽札ではありません | 2001/1

洗濯物を干していると、エプロンのポケットに何やら固まりがある。
とりだして、広げて見ると、おっ!一万円。
お〜神の御加護だ。あれこれ思い巡らして、そうそう、あのときの一万円。
これは、私のものだ。
しかし、こんなに、くしゃくしゃしてては・・・と思い、
湿ったままの一万円に、アイロンを掛けた。しかし、小じわがとれない。
「しわ取りスプレーを使ったら!」
「そうね。娘よいいこと言うね〜さすがよ!!」
シワ取りのアイロンスム―ザーまでスプレーしてピンとさせたが、
妙にピンピンしてるし、なんか、手触りが固くなってしまった。
それに、一回り小さい。
まっ、いいかあ〜と思ったが、使った後、偽札に間違われて警察に通報されると、
身の潔白を証明するのが大変だろうなあ・・と考えて、
ついでも有るので、銀行で新しいものに替えてもらおうと思った。

銀行の窓口のお姉さんに疑われても困る。
攻撃は最大の防御ではないが、問われる前に言っておこうと、
『これ、ちょっと濡れたので、アイロンを掛けたら、少しちぢんでしまって、
けっして、偽札では、ありませんので、交換してもらえますか?』
お姉さんはにこにこして、戸惑ったようすもない。
「はい。よろしいですよ。」
『ありがとうございます。こういうことは、よくありますか?』
「そうですね。濡れると、すこしちぢむようですよ。」
たいしたことないんだあ〜と思った私は、さっきの緊張がとけて、
『なんだあ、そうでしたか。大蔵省も”濡れたらすこしちぢみます”って、
ここんところに印刷しておけば、いいのにねぇ(笑)』
それまで、銀行の人みんながにこにこしてくれていたのに、
わたしの最後のひとことで、一瞬みんなが黙った。

えっ?たいしたこといってないですから、・・・
それに、こんなところでは、もうふざけませんから。