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ちょっと立ち話 | 親心とは | 2006/4


長男が社会人になる。学生時代のアパートを引き払って、我が家に戻ってきたが、
就職先の研修に行く前のわずか4日間の滞在で、
次の引越し先への準備もあり、ダンボールに囲まれて、なんとも慌しい。
スーツも準備できたし、なかなか似合って格好良いよ。
エネルギーに満ちて勢いもある子だけれど、
新しく始まる生活への期待と不安が見え隠れする。
もうすっかり大人だけれど、私にはまだまだ子供なわけで、
無駄な心配ばかりして、親なんて浅はかなものだと思う。
あの子、大丈夫かしらん?
大丈夫さ!
がんばり過ぎるんじゃないかしらん?
大丈夫さ!
大丈夫だよね
これからは生活費の仕送りもしなくていいし、学資の準備をしなくてよくなるけれど、
私がかかわることがもうすっかり無くなったことが逆に悲しくて、
数年前進学のために家を出て行ったときとは違った悲しみが襲ってきた。
夜中 息子と話していたら、もうこんな時間を持つのは最後だろうと思うと、
全部すっとぼけた顔で話して、天然ボケに磨きをかけてしまった。
アホな母親です。
わずかな時間はあっという間にすぎて、出発の日、夫と二人で空港まで見送って行ったけれど
嫌になったら辞めて帰ってくれば良いんだからとまた余計なことを言ってしまった。
ほんとに馬鹿な親だと我ながら情けない。
搭乗手続きを終えた息子を送り出して、夫はさっさと帰ろうとしたけれど、
私はデッキまで見送ることにした。
タラップを上るときも振り返ることは無いだろうし、飛行機の窓から手を振ることも無いと思う。
無いとは思うけれど、もし振り返ったときに私たちの姿が無かったら、悲しむかもしれない。
そう思うと、飛行機が飛び立つ前に帰る気にはなれなかった。
やっぱり息子はいつものように、振り返ることもなく、
小さなコミューターはきれいに飛び上がって行った。
あの子のこれからを暗示するかのように、本当にきれいにまっすぐに飛び上がった。
夫いわく、飛行機はまっすぐに飛び上がるものさ!

ここ数年間の我が家の桜の季節は、受験やら引越しやらで慌しくて、
お花見など縁が無かったけれど さて今年はどうなりますやら・・・・