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ちょっと立ち話 | ランドセル | 2006/2


お休みの日のスーパーは子供連れで賑わう。
2月に入ってからは、ランドセルや勉強机も展示され始めた。
最近のランドセルはとってもカラフルで、赤はもちろん、ピンク・黄色・緑・青・オレンジ
まるで12色の色鉛筆のよう
形は昔ながらのものだけれど、時代は変わったものだなあと思う。

今から13年前、末の娘が小学校入学のときのこと
上の男の子二人の時にはまだ制服が残っていて、あれこれ考える必要がなかったが
娘の時には制服は廃止になっていて、自分で準備しなければいけないことが多かった。
私は世界の小学生の通学の様子が写真で紹介されている雑誌を見ていた。
その中のフランスの小学生の背負っていたカバンが一番おしゃれで、可愛らしかったので
後先考えずに、私は娘の通学バックはこれに決めた。
通販も出来る雑誌だったので、取り扱いのデパートに電話して早々に届けてもらった。
昔の中高生が持っていたような形で、背負うことも、手提げにすることも両方出来る
赤と緑のツートンカラー。形はちょっと大きめで横長、軽くてしっかりとしたものだった。
私自身、こんな可愛いものを見つけられてホクホクだったし
娘本人も気に入って、届いたバックを毎日背負って 1年生になる日を楽しみに待った。
さて、新学期
皆と違うバックで通う娘。
多少気にするかも知れないと思ってはいたけれど、結果は想像以上に厳しかった。
ちょっと離れた幼稚園に通っていた娘は地元の友達が一人もいなかったし
形の違うランドセルはいけないんだとか同級生に言われ、独りぼっち。
上級生からじろじろ見られたり、大人の人から声を掛けられたりすることも嫌だったようだ。
1週間も経たないうちに、
「私はやっぱりみんなと同じ赤いランドセルが良かった」と泣いた。
あのバック、あんなに気に入っていたのに。
慌てた私はすぐに赤いランドセルを買う事にして
娘と一緒にスーパーやデパートを回ったけれど、
入学式もとうに終わった4月中旬 ランドセルを置いているところはどこにもない。
取り寄せてもらうことにしたが、時間がかかるという。
2週間だったか、3週間だったか、説得して通学させるのは長かった。
人とは違うことは世の中に山ほどある。
買えるものだから良いけれど、買えないものだって、手に入らないものだってある。
あのとき、担任の先生に話して、いろいろ取り成してもらったほうがよかったのか、
人と違うことはちっとも悪いことじゃないって説得して
あのカバンを続けさせるほうが良かったのか、
どうすれば一番よかったのか、今でも分からない。
人とはちょっと違うことを納得したり楽しめるまでには、時間がかかるのだろうと思う。
古びた赤いランドセルと、真新しいおフランス製のバックはクローゼットの奥に並んでいる。