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ちょっと立ち話 | 奇跡の生還 | 2005/11


お鍋の美味しい季節になって、スーパーから白菜まるごと1個買ってきた。
先のやわらかそうなところに、たくさんの穴が空いている。
ははーん、虫がいるな!何枚かめくったら、緑のころころした糞が出てきた。
先のほうだけどんどんめくったら、いたいた青虫。
ようこそ生きて出てくれました。でもこの寒さに向かって青虫の姿とは気の毒だ。
私のいつもの楽しみで、瓶に白菜をひいて、青虫を丁寧に移動させた。
ここで大きくなるんだよ。
好きで青虫を育てるけれど、季節はずれの青虫が蝶となった姿なぞ、見たことは一度も無い。
決まって脱走する。
どうして脱走する?って疑問に思うでしょ?
それがいつも不思議でね、毎日新しい葉っぱに取り替えて、大切にするのに、
気がついたら、瓶が空っぽ。
どういうつもりで出ていくのやら。。。。
今回も、3〜4日は食欲も旺盛で、ぐんぐんと大きくなった。
薄黄緑色だった体は濃さを増して、黒っぽくなってきた。
このままさなぎになるんだろうと期待していたら翌日 姿が見当たらない。
白菜の山をでて、台所のカウンターのどこに行こうというのだろう。干からびて死んでしまうのに。
残念で仕方なかったけれど、夕方廊下のゴミを拾おうとしたら、なんとゴミではなくて
黒さを増した青虫が動いている。あら〜こんなところに。
掃除機をかけなくてよかった!今度はガラス瓶を止めて、通気性のあるお菓子の木箱に新しい白菜を準備した。
葉っぱを食べる気配はないが、まだまだ元気で つんつんとつつくと動く。
しかし動きは緩慢でひっくり返ると自分では直ぐには元に戻れなくなった。
弱っているのかな いや、 さなぎになるんだろうと思った。
ところが本当に不思議。翌日またいなくなった。一体どうしたいの。話が出来れば相談にものるけれど
いかんせん、私と貴方じゃ生きるための生活が違いすぎるものねぇ
2度目の脱走で、私もいよいよ諦めた。なのに、ホットカーペットにごろんとしてひじ枕をしようとしたら、
なんとあの青虫がどこからか出てきた。おっと、つぶすところだった。奇跡の生還2度目だ
葉っぱだけじゃ生きていけないのかしらって思って、箱に土をいれてその上に白菜をしいて、青虫をのせた。
青虫はもう何も食べない。葉っぱからずれて土の上で伸びている
何度葉っぱの上に戻してやっても、どうしても土の上に降りてくる。
だんだん体が乾燥して、とうとうつついても動かなくなった。
繭を作らずに、土の中にもぐって蝶に変身するのもいるけれど、土の上にごろんとしてるって・・・
蝶になるのか、ごみとなるのか。青虫は黒く固くなったまま
季節はずれの青虫 が温室にいられるのも白菜が出荷されるまでで、
いきなり自然に帰れといわれても生き延びる術はない。
五分の魂もあわれ。