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ちょっと立ち話 | でっかい顔 | 2005/07


我が家には嬉しくも漁師さんの友達がいて、友達っていうより良くしてくださる人生の先輩ですが、
良いのが捕れたからっていう電話が入り、私は厚顔無恥にも、なんどきだって車で頂きに出かける。手ぶらで。
大体は高級魚で、貧乏な我が家では買って口にすることが出来ないものばかり。
つい先日も夜遅くに一本頂いて帰った。
ご主人の説明では黒マグロの稚魚で通称 ”よこわ” 
稚魚っていっても、60cmはゆうに超えている。
我が家のまな板にはのらないので、新聞紙をいっぱいに広げて三枚に下ろす。
出刃包丁で作業に取り掛かる。これが事の他残虐な作業で、鯖や鯵をおろすよう分けにはいかない。
魚をじょうずに下ろすコツは、魚の体を良く見ることと教わった。
胴の丸い魚は出刃も弧を書くように入れる。平べったい魚はまっすぐに出刃を入れる。
この”よこわ” ぐるリ回して眺めた。胴体もずんぐりしている。
えらのところから包丁を入れて頭を切り落として、ちょっとびっくりした。この顔 でっかい。
三頭身!ずっしりと重いし、口も大きく開いている
そうか!あんたは黒マグロ。大型の魚になるんだから、ちっちゃい時から顔も口も大きいんだ!
そういえば、実家に飼っていたシェパードやドーベルマンの子犬の時もそうだった。
2ヶ月の子犬だっていうから、小さくて可愛いのを想像していたけど、
抱っこされて家にやって来たとき 前に突き出た前足の大きさにびっくりしたことを思い出した。
足が大きくて、大きな靴を履く子は背も高くなるとか、よく言うよね。
大きくなる魚は、小さいときから顔や口だけはでっかい。きっとそうだ。
夫と話して、二人でそうだ そうだと言うことになり 納得した。これは自然界の真理だね。
これって、本当のこと?・・・・(笑

調べて、分かったことがある。
まぐろは、高速で長距離を回遊しているため、多量の酸素を必要とする。
他の魚類では、エラぶたや口をパクパクさせながら呼吸するのが一般的なのに対して、
まぐろは常に口を開けて泳ぎ続け、エラを通過する海水を多くして、多量の酸素を取り入れる。
まぐろは、泳ぐのを止めると窒息してしまうため、死ぬまでずっと休むことなく泳ぎ続けなければならない。
このため、夜の間も速度を落としながら泳ぎ続けている。
まぐろは呼吸するために泳ぎ続けることを宿命づけられた魚ともいえる。
とあった。

そうかあ。大きな顔、口。マグロとして生きていく死活問題なんだ。
マグロにはマグロにしか分からない、大型高級魚としての辛い定めがあったのか。