ちょっと立ち話 | ある親子の風景 | 2004/4


すばらしく晴れ渡ったある日曜日。
こういう日は、家族でドライブだよね!って思いながら庭の草取りをしていた。
一人でごそごそしていたら、お隣の庭から、子供の声が聞こえて来る。
お隣さんはご老人2人だけだし、お孫さんも高校生くらいだから子供の声は珍しい。
トントン、ギリギリ、音も聞こえてくる。
どうやら、竹の生垣を新しくするために業者さんが来ておられるようだ。
そういえば、2〜3日前からやっていたよね。
日曜日だし、今日は子供連れで仕事かな・・・・・

「お父さん、これなにするの?」
「ねぇ?」
『セメントは触ったらだめだぞ。手がカサカサになる。』
「お父さんは触ってるでしょ?手がカサカサになる?」
『うん。お父さんはカサカサを通りすぎてガサガサになってる。』
「”カ”を通りすぎると、”ガ”になるの?」
「ねぇ触ってもカサカサにならないよ。」
『あとから、カサカサになるさ。』

『花壇に入ったらだめだぞ!』
「うん。花壇には入らないけど・・・花壇があった」
「こいつ、すばしっこいなあ。お父さん?どうしてこの虫すばしっこいの?」

「お父さん、これなにするの?」
『危ないぞ。』
「ふ〜〜ん」

それから我が家の庭を小さな黒影が何度か走り抜けた。
お隣からは、作業の音だけが聞こえる。
しばらくして・・・・

『よし!終わった!帰るぞ』
「お父さん終わったの?」
「もう、仕事いいの?」
「お父さん、これ運ぶ?」
「お父さん、これ重い?」

お父さんなる人は無口で、塀越しに職人さんらしい感じが伝わってくる。
さて、これから、ジュースかアイスクリームを買ってもらって、家に帰るのかな?
家に帰ったら、お父さんはビールでも飲むのかな。
お父さんを促がして行楽地に出かけて、帰りにはファミレスで夕食。
それはそれで楽しい。しかし・・・
今日のあの父子。よい日曜日だと思った。私は羨ましく思った。