ちょっと立ち話 | 結構”運”がいい | 2003/8


「お母さん!今度のお休みには。焼きプリン作ってね。」
『了解!そう言えば最近作ってないねぇ』
約束のお休みの日。おおざっぱに家事を済ませて、さっそく、焼きプリンを作り始めた。
午前中に作っておけば、娘が帰ってくるころにはひんやり冷えているはず。
丁度お誕生日の友人もいるし、職場に差しいれしよう・・・
プリン20個分の材料を用意した。不思議なことにお菓子を作ると気分が華やぐ。
牛乳を温めて、お砂糖を溶かして、卵を割りほぐして、いろいろして裏ごしも2回した。
あとはカラメルを作るだけ。
このカラメルって秒を争うんだよね。油断すると焦げて苦くなる。
耐熱のガラス容器に砂糖と水を加えてレンジで過熱4分。これからの1分が勝負だ。
砂糖の焦げ色を見ながら取り出すタイミングをうかがった。
「今だ!」余熱で完璧な仕上がりになるぞ!
私は慌てて近くにあった布巾で容器を掴んだ。
もう一つ布巾を持って両手で取り出そうと容器を持った途端。==「パリーン」==
ガラス容器は割れ、カラメルは床やレンジ回りに飛び散った。
ころよくできあがっていたカラメルは私の左手にもべっとりとはり付いた。
あちちちちちち・・・・こういう時には・・・・
水道水で冷やしたあと、ボールに氷と水を入れしばらく手を浸していたけれど、
ずきずきと痛い。も〜痛い痛い。これはいつもの火傷とちょっと違うぞ
飛び散ったガラスだけは集めておこうとしたけれど、
カラメルと割れたガラスが混ざって床に冷えて固まっている。
こりゃ〜針山地獄ならぬ、割れガラス地獄ですなあ
やっぱり先に病院に行こう!
蓄冷剤を左手に巻いて、急ブレーキと急発進を繰り返しながら片手運転で病院に走り込んだ。
皮膚科の先生から
・これはかなりの重症ですよ。
・2日置きにガーゼ交換に通院してください。
・軟膏処置で包帯が取れるまで3週間かかるでしょう。
・感染か恐いので濡らさない事。濡れたらすぐにガーゼの交換をしてください。
ですって。
でも私は主婦だし・・・御飯はどうするの・・・家事いっさいどうするの・・・
ビニール袋をかぶせて輪ゴムで留めて台所に立った。
左手の、唯一火傷が免れた小指を駆使して洗い物をしたけれど前途多難です。
どうしたものかと ミルクティを飲みながら、ぐるぐる包帯の左手を見ていたら、あれ〜(^o^)
ドラえもん状態のぐるぐる包帯からちょっとだけ元気なところがのぞいている。
中指の先1cm
これって!・・・笑 パッチワークの金属シンブルをかぶせる指ですよ。
ひょっとしてパッチはできるかも・・・
神様がおっしゃる。《気にかかるキルトがあるんでしょ!》
私 結構”運”がいい。・・・


「なんか、去年の暮れから火傷が続くよね。皮膚科ばっかり 」
『君は脳外科にも行っただろ!』
「脳外科?行ったかな?」
『ほら。車のフロントガラスに頭をぶつけて』
「あぁ〜〜まっ、気にせんで。これで結構”運”がいいんだから」