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ちょっと立ち話 | 教訓(その1) | 2008/8


桜の散る4月半ば、義母は78年の人生を終えた。
わからないことだらけの葬儀もわからないなりに執り行われ、
ぎゅうぎゅうに締め付けられた帯、へたっくそな着付けの悪さで、気が遠くなりそうなほど疲れてしまった。
葬儀を終え、母の住まいの御仏壇のところで集合しようということになって、弟達は葬儀場を後にした
喪主であった夫と私はあちこちに挨拶を終え、子供達と一緒に控え室に帰ると、
母の遺骨、兄弟達の着替え、弔電にいたるまで一切がそのままほったらかしになっていて、
義妹義弟よ!いったい何を考えているんだ!と疲れも手伝って、””あったまに来た””
駐車場まで何回も通って荷物を運び、さてお骨を車に積み込む段になって、今度は車のキーが見当たらない。
まとめた荷物をまた全部開けて探したけれど、どこにもない。
最初荷物を運び入れたときにキーを手渡してもらっていないぞ!と夫が言う
きっとトランクの中にキーを入れたまま閉めてしまったんじゃないか?そうに違いない、絶対そうだ!と言うものだから
さっき兄弟のことで文句言って悪かったなぁって思っていたので、私は、「あっ、ごめん」って言ってしまった
葬儀会場の方や、いろんな人を巻き込んで、両手に骨壷を抱えたまま大騒動
こんなときにこんなことで。こんなドタバタは我が家らしいわって、娘が笑うものだから、
葬儀が終わったばかりの会場で・・・みんなで大笑いしたら、
誰も怒ったりされないんですね・・・と会場の支配人に言われた。呆れても、怒ったりはしませんよ
JAFの人に来てもらって開けてもらうことになったが、さびているのかなんだか、よくわからないけれど
ドアを開けるのに1時間以上もかかってしまった。
ほら、トランクの中にあったぞ!・・・・・の声を皆が期待したけれど、見当たらない。
じゃあ、どこ?落とした?そんなことはない。
もう一回、荷物全部見てみよう。控え室の座布団のところも、座椅子の横も一切合財をひっくり返しても、ない。
ない ない ない な〜〜い
3時間かけて、私達の実家に合鍵をとりに帰るしか方法は無いってことになったとき、娘が大きな声を出した。
このお父さんのジャケットの内ポケットの中のこれ?この鍵?
そうです、それです。
犯人は夫。しかもジャケットの内ポケットの中。
昔の三味線の”どどいつ”の中にあったよね
電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのもみんな私のせいなのよ♪ということね。
教訓その1
はっきり記憶がないときには、自分のせいかもしれないなんて思ってはいけない
仮にも、ごめんなさいなんて決して言ってはならない
笑う角には福来る。幸せは身近な内ポケットにあるものです