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ちょっと立ち話 | 昔々・・蟹工船 | 2008/7


最近、小林多喜二の「蟹工船」が若者の間で前例のない売れ行きだという
形容するキーワードはプロレタリアート文学・共産党・赤化工作・労働者
最近ではワーキンブプアーという言葉で代表される若者を中心とした労働
当時の地獄のような労働と、 最近取りざたされるワーキングプアと呼ばれる現代の貧困労働者との類似性が、注目され、共感を呼び、多くの若者の間で読まれているらしい。
小説の中の過酷な労働と現代のワーキングプアとの間にどれほどの類似性があるかということ
一部の見識者達による作られたブームではないかといういろいろな解析は、もっと偉い方々の議論とするところとして。
私にとっての蟹工船は「世間知らず」の代名詞だ
というのはね・・・・・・・・・
私が学校を卒業したのは1975年 33年前
33年後って、仏教では弔い上げ(法要行事の完了) 意味を変えれば完全な時効ってことかな
当時は今みたいな就活みたいなものはなくて、
担当教授の推薦を受けて面接に望むというのがほとんどだった。
こう見えても私は当時結構まじめで成績もよく、優秀な学生だった。
教授の覚えもよくて、「希望のところがあればどこでも推薦しますよ」なんて言ってもらった。
で、水戸黄門様の印籠のような推薦状を持って面接に臨んだのに・・・・結果は不採用
「私の推薦を受けて不採用になったのは後にも先にもあなただけです」「いったい何をしたのですか?」
私は何もしていない。
ただ、最近感動した本は何ですかという面接官の質問に、小林多喜二の「蟹工船」ですと答えただけ。
緊張していたので、細かなところは何を言ったのか覚えていない。
劇画的という批判もあるけれど、淡々とした文章なのにぐいぐいと引き込まれ、人生の痛みを感じたと思う。
私にとっては純文学で、労働運動にかき立てられたり、共産党の政治に結びつくものではなかった。
しかし、こういう作品に感動しましたなんて面接のときに堂々と言ってのける学生は、企業からすれば、煙たい
あなたの会社に入社した暁には労働運動をしますよ。なんて宣言している危険分子で、快く雇う企業あるはずもない
30余年前、私の人生にかかわった蟹工船。
時代を越え今話題となっていることが不思議で、私の無防備な若さが懐かしい。